シルバーアクセサリーを鋳造する
ジュエリー制作の過程で最も重要な工程とされるキャスティング(鋳造)を解説いたします。
原型職人が作り出した、蝋原型(ワックス)を型枠に固定し、水で溶いた石膏を流し込みます。
これを高温の窯で一昼夜素焼きにしていくことで、中にあった蝋(ワックス)が溶解し素焼きの石膏の中には、蝋原型そのままの空洞が成型されます。ロストワックス鋳造法と言われる技法です。
ここまではキャスティング(鋳造)の前準備となります。もちろん石膏の温度、水分量、窯の温度等、毎日の気温、湿度によって変化し、鋳造の仕上がりを左右する重要な作業です。
この準備で鋳造の仕上がりの半分は決まってしまう。神経を使う作業です。
素焼きにした石膏型(鋳型)へ溶解した銀を流し込む作業へ移ります。
使用される銀はスターリングシルバー(925シルバー)ブレンド。国内で精製された高品質な地金のみを使用しております。
シルバーの輝き、白さを左右する材料の存在はとても重要で、特にこのショットと呼ばれる小粒の地金は解け方も均等で使いやすい形状です。
高温に熱されたルツボ。1000度に熱されたルツボに地金が投入され溶解していく。金属の温度管理に神経を使います。
数度の変化でさえクオリティを決定してしまいます。最も集中力を必要とする作業です。
金属を型に流すのは一瞬、温度計から伝わる物と経験から培われたその一瞬のタイミングを静かに待ちます。
金属が流れ、石膏を崩すとキャストされたシルバーが顔を出します。キャスト直後のシルバーは黒く石のような表情です。
石膏を綺麗に洗い流し、キャストの仕上がり具合を確認します。
薬品で表面の不純物を洗浄し、銀の白さが少しずつですが垣間見れます。銀本来の輝きまでは程遠いですが。鋳造は成功です。
金属を溶かして型に流す。言葉にすると単純な工程の中にとても複雑かつ繊細、経験量と職人の勘が必要不可欠な工程です。
日々の微妙な変化で変わるコンディション、クオリティを安定させるのは職人の技です。
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